生活困窮者支援に関わる団体「一般社団法人つくろい東京ファンド」が昨年末から年初にかけて実施したアンケート調査によれば、生活保護を利用すべきかたが利用を踏みとどまる理由として最も多かった回答は、「家族に知られるのが嫌(34.4%)」であり、生活保護を利用した経験のあるかたの半数以上が、扶養照会に「抵抗感があった」と回答したとのこと。
扶養照会とは、生活保護の申請時、福祉事務所が、本人の配偶者や親子、兄弟姉妹などの親族に本人を援助することができないかどうかを確認することですが、生活保護支援ネットワークの電話にも「生活保護を利用したいけれど親族には知られたくない」といった相談が寄せられます。
上記一般社団法人つくろい東京ファンドによれば、2019年度の東京都足立区の生活保護新規申請件数2275件のうち、扶養照会によって実際の扶養に結びついたのはわずか7件(0.3%)とのこと。一方で、生活保護担当職員のオーバーワークによる疲弊が問題視されているのですから、有害無益な扶養照会の運用を大幅に改善する必要性を強く感じます。