全国29の裁判所でいわゆる「生活保護引下げ裁判」と呼ばれる集団訴訟が展開されてる。
生活保護費が平成25年から段階的に引き下げられたことには、厚生労働省の判断の過程や手続きに誤りがあり、最低限度の生活を保障した憲法に違反する違法行為であるとして全国の保護受給者が国を訴えた訴訟だ。
厚生労働省の主張は、一般の低所得世帯の支出水準や物価の下落を、生活保護費の基準額に反映させたとするものだが、フリーライターの白井康彦さんの取材によれば「引下げありき」で、その結論を導くために意図的に採用する計算方式を変更していた事実が判明しており、この点は裁判における重要な争点となっている。
これまでに10の裁判で判決が示され、大阪と熊本の裁判で「引下げは違法」との判断が示されました。国を相手とする裁判での勝訴自体は画期的と指摘できる一方、白井さんの分析を丁寧に読み込めば至極妥当な結論であり、杜撰な生活保護行政の実態が浮き彫りにされた結果といえる。
今後の裁判の結果にも、関心をもって注視していただきたい。
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